なぜ今、小学校現場は東洋思想を学ぶべきか 前編
「なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか」を基に、「小学校現場において東洋思想を取り入れるとどうなるか」ということについて考えていきたいと思います。働き方改革や授業改善に役立つ視点が隠されています。
「なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか」では、7つのパラダイムシフトを述べています。今回はこれらに準拠しながら、小学校現場について考えていきたいと思います。
1.「機械的数字論」から「人間的生命論」へ
さまざまな問題に直面したときこそ「人間の根本に立ち返ることが大切だ」。そう老子は述べているのですが、そもそも人間の根本とは何でしょうか。
これこそまさに「命」であり「命を喜ばせる」ということです。
働き方改革が叫ばれる昨今、重要となるのは「ストレスマネジメント」ではないでしょうか。画一的な「タイムマネジメント」だけでは、「命を喜ばせる」ことにはつながらないのではというのが最近の自分の考えです。
もちろんタイムマネジメントがすべて悪であるというわけではないです。時間で仕事を管理し、その時間内で最大効率をあげるように働くのが適した人もいるのは事実でしょう。もちろんそれが適している人はそのように働くのが良いと思います。
しかし、中には、時間に追われるだけでストレスがかかってしまう人もいます。そうした人にとっては、タイムマネジメントで仕事を進めていくのは精神衛生上よろしくない。そうした人にとっては時間で仕事を管理するのではなく、その仕事に対するストレスで仕事を管理するほうがいいと思うのです。
時間で仕事を管理し最大効率を図っていくのが合っている人もいれば、時間を気にせずに仕事をこなしたほうが合っている人もいる。どちらのほうが良いというわけではないが、これまでタイムマネジメントばかりがクローズアップされてきた働き方改革の中で、ストレスマネジメントという考えが新しく出てきたという話です。
ストレスマネジメントの働き方を行っていくうえで出てくるのが「ワークアズライフ」という考え方です。
ささっと文字で見たい方はこちら⇩
教員にとってワークアズライフという考え方は結構あっているのではないかと考えます。教員の勤務時間は実質他の仕事がほぼできない拘束時間となっています。しかし事務作業が苦手でストレスが溜まっていく自分のような教員にとって、勤務時間内の子供と接している時間は比較的ストレスが少ないです(もちろん学校の実態によって異なるとは思いますが)。
そのような中で時間効率を最大化するタイムマネジメントはある程度のところで限界が生じると考えています。仕事量が膨大かつさらに増殖し続ける教員にとって、タイムマネジメントでは、一部の超人しかこなせなくなるような時代が来ることと思います。
その中で、子どもと接する時間や教材研究を行う時間を「ストレスが少ないもの」として扱うことができる人間にとっては、ワークアズライフを行い、ストレスを極力減らしていくことが新たな働き方改革になるのではないかと思います。
2.「結果主義」から「プロセス主義」へ
之を知る者は、之を好む者に如かず。
之を好む者は、之を楽しむ者に如かず。
教員における結果とは何でしょうか。学力向上?体力向上?道徳性向上?いろいろあるとは思いますが、一言で表すと「子どものため」になると思います。
「子どものため」というのは悪魔の言葉です。様々な行事が「子どものため」という名目で費用対効果を考えずに行われ、挙句の果てには子どもを疲弊させるだけのものとなっていることもよくあります。そしてその中で行われるのは教員に対する「やりがい搾取」です。
全国のブラック企業に聞かせたい言葉#逃げ恥 pic.twitter.com/1aw8b60eLD
— はなたろう (@hana_taro2014) 2016年12月13日
「子どものため」という言葉はとてもステキな響きがします。その名聞があれば「自分はよく頑張っている」という意識をもつことができます。しかし、その結果子どもも教員も疲弊してしまっては意味がありません。「子どもも楽しい、教員も楽しい」活動こそが今こそ求められる在り方なのではないでしょうか(そもそもその「子ども」とは誰を指すの??と言いたいところではありますが)。
3.「技術・能力偏重」から「人間性重視」へ
大学の道は、明徳を明かにするに在り。
民に親しむに在り。
至善に止まるに在り。
自分の考えを押し付け、他人の考えを許容できないお局。自分の保身のことしか考えていない事なかれ主義の校長。自分の気になることは無駄に話しかけてくるが、それ以外の時には話しかけるなオーラ満載の教員。みなさんの学校にはいないでしょうか。ちなみに自分の勤務校には3種類ともいます。
大変な学校の条件の1つとして職員室の雰囲気が悪いというのがあると思います。雰囲気の悪い職員室では、情報交換・共有がなされず、問題事案の発生率が高い、またこじれる可能性が高いと言えます。
だからこそ、現在の教員には人間性が求められるのではないでしょうか。
現在の教員大量採用時代。有能な教員ばかりを採用するのはほぼ不可能です。玉石混交の職員室になるのは間違いないのです。そこで大事なのは「徳」をもつ人材をいかに生み出していくかになります。
額面だけではない、本当の意味での「チーム学校」になるためには、人間性重視の方向が大切になってくるのではないでしょうか。