児童の自立を支援するうえでの教員の在り方 ~「子どもの『自立』を育てるスポーツコーチング」をもとに~
あぶすと!
☑ ボトムアップ理論
☑ 「教える」と「任せる」のバランス
☑ いざというときに支援できるだけの力量
1.2学期開始に向けて
自分の自治体では9月3日から2学期である。ついに子どもたちとの生活が始まるまで1週間ほどとなった。
長期休暇明けで子どもたちとの関係が良くも悪くもある程度リセットされて始まる2学期。どのような在り方で子どもたちを支援していけばよいかもう一度考え直していかなければならないと思っていた。
そこで注目したのがついったらんどでぼんやりと話題になっていた「子どもの『自立』を育てるスポーツコーチング」である。
本書は「スポーツコーチング」とある通り、クラブや部活における指導者の関わり方について書かれたものである。しかし、その中にも自身の在り方を考えるものとして有用だった。
2.ほかのブログ記事
発売からまだ1か月ほどしかたっていないためか、この本について書かれたものは少なかった。唯一見つけたのが桑原氏のこの記事。
本書でもたびたび述べられている「感情」について主軸を置いたものになっている。
感情からのアプローチについてはこちらに任せるとして、本記事は子どもに任せていくうえで求められる教員の姿勢や力について考えていく。
3.能力をもっておく
本書を読み進めていくうえで一番印象に残ったのが「最低限教えることは伝え、観守る部分が出てきて、選手が自主的に聞いてくるようになり、その中でも選手たちに気づかせる部分も残して、という感じでやってきました」という文である。
ここでのポイントとなるのは「聞かれたことに的確にこたえられる」ということである。ともすると「子どもに任せる」=「教員の力はいらない」と考えがちである。しかしそうではない。
教師には子どもを十分に指導する力が求められる。重要なのはそれを必要以上に見せびらかす必要はなく、秘めながら子どもに任せる。そして子どもの求めに応じてそれらを与えていく。そうした態度が求められる。
自分の偏見ではあるが、知識が無駄にある教員ほど(とくに社会科専門教員に多いが)やたらめったら講義形式の授業で自分の知識をひけらかすことに全力を尽くす姿が見られる。
もちろんさまざまな知識を与え、興味をもってもらうことも大切であるが、それによって子どもの学ぶ機会を奪ってはいけない。
しかし、だからといって「子どもに任せるから教師は何もしない」ということではいけない。子どもに任せながらもいざというときに十分にサポートを行えるだけの知識や技術を教師側がもっていく必要がある。
阿羅(2017)*1でもボトムアップ理論を用いている高校において共通している点として①決定権をゆだねる②意思疎通を行う③専門知を提供するの3つが挙げられている。
子どもに任せる中で知識・情報不足の部分については学習を深めていく、もっている知識・情報を必要に応じて出していくというスタンスがこれからの教育において求められていく。