意識低い系教員のブログ

JP産小学校教員。穏やかな心で。

【書評】「成果を上げて5時に帰る教師の仕事術」から考える仕事改革 ~1学期を振り返って~

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あぶすと!

☑ 教員の4人に1人が4時間以上の残業

☑ 45分の隙間時間の活用がキー

☑ 目標時間の設定で効率アップ!

 

  • 帰れないのか帰らないのか

  先日こんな記事を見かけた。

boxil.jp

 教員の4人に1人が勤務間インターバルが11時間未満、つまり4時間以上の残業をしているという。

 

 自分の勤務校においての勤務時間は8時半から17時までになっている。しかし現実問題として朝の会の時間が8時半に設定されており、多くの先生方が8時ごろには出勤している。自分も大体7時半には出勤し、その日の予定の確認や準備等を行っている。退勤時間は特に行事や生徒指導等がないときで19時ごろである。仮に7時半~19時の勤務を行った場合、残業時間は、勤務前に1時間勤務後に2時間となり、トータルで3時間の残業となる。もちろん生徒指導が入ったり行事が忙しかったりするとさらに残業時間は増えていく。

 

 そう考えると4人に1人が4時間以上の残業というのもあながち間違いではなく、もしかしたらもっと多いのではないかという気さえてくる。ちなみに先月(6月)の自分の残業時間は、授業参観+成績処理+実践発表の準備が重なったため、122時間というブラック感満載の時間数になった。

 

 このように教員のブラック具合が叫ばれ、働き方改革が言われているが目に見えて大きな変化はないのが現状である。

 

 では教員は本当に帰れないほど忙しいのか、それともだらだら仕事をして帰らないのか、どちらなのだろうか。自分はどちらもあると考える。教員の仕事量が無駄な書類作成等も含め膨大になっているというのは事実であろう。しかし同時に教員にはどうも「時間」に関する意識が弱いように感じる。周りの先生方を見ているとどうも1日は50時間ぐらいあると思っているんじゃないかというような姿がある。

 

 仕事が多いことを嘆いても自分1人でできることには限りがある。それよりも、膨大な仕事をいかにこなし、成果を出していくかが大事になってくる。岩瀬直樹氏の「成果を上げて5時に帰る教師の仕事術」はそのためのヒントが多くある。 

成果を上げて5時に帰る教師の仕事術

成果を上げて5時に帰る教師の仕事術

 

 

  ・ほかの方々の書評

 この本の書評は多く書かれている。内容について大まかに把握したい場合は齊藤カオリ氏のこちらを読むとよいし、

 

suzie-news.jp

「チーム学校」の観点から本書を見ているロカルノ氏の書評もおもしろい。

 

www.s-locarno.com

 本書の大まかな説明はこれらの書評に任せ、自分は自身の1学期の取り組みを振り返りながら本書について述べていきたい。

 

  • 教員の隙間時間はどのくらい?

 本書で「隙間時間」の有効活用が冒頭で述べられている。

 

 「5分休みや給食配ぜん中にノートチェックをしてしまおう」「5分でできることはその場でやってしまおう」などがある。では実際教師の隙間時間はどのくらいあるのだろうか。現在の自分の勤務校を例に考えたいと思う。

 

 現在の勤務校では、各校時の間に5分間トイレ休憩等の時間が設けられている。また、2校時と3校時の間には15分の休み時間が設定されている。昼休みは教員の休憩時間でもあるのでそれを除くと、授業以外の隙間時間としては5分×3+15分で30分ほどの時間があることになる。また給食の配ぜん時間や帰りの用意の時間等を含めるとおおよそ45分ほどの隙間時間があると考えられる。

 

 45分といえば小学校における1時間の授業分の時間である。ではそれらの時間を自分は有効活用できていただろか。答えはノーだと思う。もちろんノートや宿題の点検等は隙間時間に行ってきたが集中力に欠ける自分にとってぶっ通しで仕事を取り組むと尋常でないほどのストレスが溜まってしまう。子どもたちと会話もしたいし休み時間の過ごし方の様子もみとりたい。しかしそれはそれで悪くはなかったと考えている。

 

 もちろん仕事をこなしていくことは大切である。しかしそれによって目の前の児童の姿が見えなくなっては意味がない。もちろん児童をみとっていたから仕事が終わっていませんでは話にならないのでそこのバランスは必要である。

 

  • 時間を決めることの大切さ

 本書を読む中で自分が一番大切だと感じたのが「時間を設定する」ことである。本書では「帰る時間を決めよう」「学級通信は30分でできるものにしよう」「仕事の見積もり時間を把握しよう」ということが述べられている。どれにも共通することは「時間の意識をもつこと」である。

 

 本書でも述べられているが教員の仕事というのは際限がない。力を入れようと思えばどこまでも力を入れられる。しかしそれではいくら時間があっても足りない。その時に大事になるのが仕事に対する時間意識である。この仕事はこれだけの時間で終わらせるという逆算的思考を持つことでより仕事の効率があがっていくだろうと考えられる。

 

 自分の1学期を振り返るとこの視点が欠けていたように感じる。仕事をなるべく早く終わらそうとする意識はあったつもりである。しかし「早く終わらせよう」とするぼんやりとした意識だけでは仕事は早く終わらない。目標時間を設定しそれに向けて取り組むことがこれから自分にとって必要と感じた。

 

  • 仕事への意識を変えよう

 教員はどうしても「子どものため」という鎖のもと、必要以上に仕事を頑張りすぎてしまう。しかしそれでは教員の仕事は膨大になっていくばかりで際限がない。仕事への意識を変え、「8割主義」のもと業務改善に取り組んでいく必要がある。その第一歩として本書はとても価値がある。